近年、富士山の世界文化遺産登録などが契機となり、中高年を中心に登山がブームとなっています。その一方で山岳での遭難事故も増加しており、その中には悪天候が原因と考えられるものも少なくありません。そこでWFTでは、気象のプロフェッショナル集団として、悪天候が原因の山岳遭難を防ぐために次のような活動を行っています。
山岳気象講座
まず基礎編として、天気図の見かたや気象情報の入手方法、空模様からの天気予報(観天望気)などのレクチャーを行います。続いて応用編として、過去の遭難事例とその時の気象データから、現場がどのような状況であったのかを検証し、予想天気図などから危険な気象条件を見抜くポイントの解説なども行います。
空見山行
登山クラブの山の天気予報の自主活動「空見山行」にアドバイザーとして参画しています。山の天気判断では入山前の天気予報を基本に、入山後の観天望気と行動判断(登り続けるか、引き返すか、別の安全なルートから降りるか)が大切です。入山前に自ら山の天気予報をした上で、当NPOの気象予報士が登山に同行し、天気予報と実際の天気がどれくらい合っているか、どういう判断をすればいいかなどをアドバイスする安全登山の研修を行っています。
DIG(※)の手法を用いた遭難回避シミュレーション
登山前、あるいは登山中に刻々と気象条件が変化していくことを想定して、用意された天気図などの気象データをもとに、どのような遭難回避行動を取るべきかシミュレーションを行います。この訓練を重ねることで、登山中に自ら考えて悪天候から命を守るための行動を取るスキルを身につけることができます。
山岳会の会報への気象講座記事の寄稿
山岳会からの依頼に応じて、山岳会の会報に天気図の見方や山岳気象遭難の解説などの気象講座の記事を寄稿しています。忙しくて講習会に参加できない方でも、時間がある時に山岳気象や過去の遭難事例や対策などを勉強することができます。気象遭難の原因は気象だけでなく他の要因も大きいため、判断力や体力などの人的要因、地形などにも焦点を当てて解説しています。
本格的な山岳会からハイキング愛好会に至るまで、対象は一切問いません。出前講座などにも柔軟に対応可能ですので、興味のある方はぜひ当会までご連絡下さい。
※ DIG (Disaster Imagination Game) : 災害図上訓練。災害が発生した場合を想定して、図(ハザードマップ、天気図、地形図など)に含まれている情報を読み取り、人命や財産などを守るために必要な行動を考える訓練です。